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ニューフェイス

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坂口 安吾

「小説と読物 第三巻第七号」桜菊書院、1948(昭和23)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,479 字 · 25 页

青空文庫

とデコデコに縫いつけられている。一同アッと驚いたが、もう、おそい。シンちゃんはマスクを振って、

「みんなハリキッテ行け。いゝか、それ!」

一同、雰囲気とシックの店の下男なみに扱われてしまった。試合なかばにさゝの枝主人は見物人にも挨拶して廻り、皆さんなにぶんゴヒイキに、例の開店案内をくばる。おたがいキッスイの商人のことで、ショウバイのカケヒキは身にしみているから、そのことで出しぬかれても我が身の拙なさ、ムキに怒るわけにも行かないのである。

さゝの枝の店も人にまかせてはおかず、一々のお客の前に挨拶にでて、エヽ、手前が主人でございます、味はいかゞ、甘味はいかゞ、と伺いをたてゝ御機嫌をとりむすぶ。

「エッヘッヘ。ワタクシ一身にあつまる魅力による当店の繁昌ですな」

「バカ言え。花柳地へ行ってきいてみろ。ニヤニヤとヤニ下りの、薄気味わるい野郎だと、もっぱら姐さんが言ってらア」

「そこがかねての狙いです。万事、当節は心理学というものだよ。逆へ逆へと押して出るから、こっちへひかれる寸法なんだ」

ところがある日のことである。

事務員らしい三人づれの娘がきた。オシルコを二杯ずつ食べて、額をあつめてヒソヒソと相談している。