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ブルジョアさっかのファッショかについて
ブルジョア作家のファッショ化に就て
宮本 百合子
「時事新報」1932(昭和7)年1月28~30日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,808 字 · 8 页
二
直木三十五の宣言を読んだ時、自分は一つの昔噺を想い出した。
ある恐ろしい山道で一人の百姓が天狗に出遭った。天狗は既に烏天狗の域を脱して凄い赤鼻と、炬火のような眼をもった大天狗だ。天狗は百姓を見て云った。
「ヤイ虫ケラ。俺に遭ったのは百年目だ。サア喰ってやるから覚悟しろ」
百姓は浅黄股引姿でブルブル震えながら云った。
「アアこれはこれは天狗様。話に聞いた天狗と云うのは、あなたのことでございましたか。昔から天狗に遭えば生身を八ツ裂にされて喰われるということは聞いておりました。この山中で逃れる術もありますまい。もう覚悟は決めました。然しこんな哀れな百姓にも一期の願いというものはございます。それを聞いては下さいますまいか」
天狗は鷹揚に「なんだ、早く云え」と云った。
「話では、天狗は変通自在のものだと云います。私もどうせ喰われるからには、どうか一目あなたがほんとの大天狗かどうかを、見て死にたいと思います」
天狗はカラカラと笑って「雑作もないことだ。註文を出せ。どんなものにでもなってやる」と云った。
そこで百姓は腰をかがめて、願ったことは、