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プロレタリアぶんがくにおけるこくさいてきしゅだいについて
プロレタリア文学における国際的主題について
宮本 百合子
「読売新聞」1931(昭和6)年10月16、17、20~22日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,199 字 · 15 页
だが、吉行エイスケが中国の日常風景を作品に盛る場合、作者にとって主要な精髄は、銀座にあるとは種類の変った現代中国エロ・グロ風景だ。資本主義化された海港都市にあって一層グロテスクであるところの中国苦力に乞食。エロチックであるところの植民地中国売笑婦だ。今日の中国と世界プロレタリア革命との必然的連関ではない。
説明するまでもなくエキゾチックだということは、ある民族の自然的環境、伝統的風俗習慣が一面的に誇示されることを意味する。従って、ニッポンは中国と、中国はアメリカと違えば違うほどいい。しかも民族的な違いそのものを決定的なアルファとし、オメガとするところに異国趣味を根とするブルジョア文学の国際的要素の特性がある。
帝国主義のファッショ化につれて、このブルジョア文学中へ国際的らしい主題をもちこむ異国趣味は、直に民族主義の武器としてつかわれるものだ。なぜなら、支配権力がヤイヤイいう民族主義の目的は、結局において日本人は日本人! 中国人は中国人だ! と、一つの条件的事実だけをさも決定的なものらしく全面にひろげて強調し、各民族間のプロレタリア・農民としての世界的連帯を切ろうとするところにある。