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ぺんくらぶとげいじゅついん

ペンクラブと芸術院

正宗 白鳥

「新潮 第五十四巻第七号」新潮社、1957(昭和32)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,444 字 · 9 页

青空文庫

藤村の建碑式の時に、私は一しょに大磯へ行って、式の手伝いをして、帰りには、警察署長に頼んで汽車の切符を手に入れたりした。この忠実な事務員にペンクラブは何の酬いるところもなかったのだが、彼今はいずこにかある?

戦争末期のペンクラブは、英国などのペンクラブとの関係は全く杜絶され、純日本式のペンクラブにしようとしたりして、事件好きの何人かでざわざわ騒いでいたが、つまりは、無為にして化すという有様であった。私の会長たりし一年あまりの間のペンクラブは、周囲の騒ぎを他所にして、ひっそり閑とした存在であったが、そのために、その間のクラブは清潔であった。たまにこの鈴木君と事務の打合せをしたこともあったが、私は大抵「そんな事は打遣って置いたらいい」とか「止したらいい」と云っていたのだ。

ところで、戦争が、不目出たくか目出たくか、終ったあとでは、ペンクラブも面目を新たにしなければならぬようになった。それで、歌舞伎座の近所の或家の二階で、重な会員が集って評議を凝らすことになったのだが、私は、会長辞任を当然の事として、議席に就くと先ずそれを申出た。そして、一応それが議題になるのかと思っていたら、前から私の解職は、重な会員の間で極っていたらしく、「まあ、もっとやって下さい」