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かぜのまたさぶろう

ポラーノの広場

宮沢 賢治

宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:風野又三郎、タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった、ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記、若い木霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 67,062 字 · 135 页

青空文庫

叔父さんはね、今度ずうっと高いところをまっすぐに北へすすんでいるんだ。

叔父さんのマントなんか、まるで冷えてしまっているよ。小さな小さな氷のかけらがさらさらぶっかかるんだもの、そのかけらはここから見えやしないよ」

「又三郎さんは去年なも今頃ここへ来たか。」

「去年は今よりもう少し早かったろう。面白かったねえ。九州からまるで一飛びに馳けて馳けてまっすぐに東京へ来たろう。そしたら丁度僕は保久大将の家を通りかかったんだ。僕はね、あの人を前にも知っているんだよ。だから面白くて家の中をのぞきこんだんだ。障子が二枚はずれてね『すっかり嵐になった』とつぶやきながら障子を立てたんだ。僕はそこから走って庭へでた。あすこにはざくろの木がたくさんあるねえ。若い大工がかなづちを腰にはさんで、尤もらしい顔をして庭の塀や屋根を見廻っていたがね、本当はやっこさん、僕たちの馳けまわるのが大変面白かったようだよ。唇がぴくぴくして、いかにもうれしいのを、無理にまじめになって歩きまわっていたらしかったんだ。

そして落ちたざくろを一つ拾って噛ったろう、さあ僕はおかしくて笑ったね、そこで僕は、屋敷の塀に沿って一寸戻ったんだ。