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しこんぞめについて
ポラーノの広場
宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:紫紺染について、泉ある家、十六日、手紙 一、手紙 三、手紙 二、手紙 四、サガレンと八月、バキチの仕事。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,934 字 · 50 页
バキチのほうでももう大抵巡査があきていたんです。へえ、そうですか、やめましょう。永々お世話になりましたって斯う云うんです。そしてすぐ服をぬいだはいいんですが実はみじめなもんでした。着物もシャツとずぼんだけ、もちろん財布もありません。小使室から出されては寝む家さえないんです。その昼間のうちはシャツとズボン下だけで頭をかかえて一日小使室に居ましたが夜になってからとうとう警部補にたたき出されてしまいました。バキチはすっかり悄気切ってぶらぶら町を歩きまわってとうとう夜中の十二時にタスケの厩にもぐり込んだって云うんです。
馬もびっくりしましたぁね、(おいどいつだい、何の用だい。)おどおどしながらはね起きて身構えをして斯うバキチに訊いたってんです。
(誰でもないよ、バキチだよ、もと巡査だよ、知らんかい。)バキチが横木の下の所で腹這いのまま云いました。(さあ、知らないよ、バキチだなんて。おれは一向知らないよ。)と馬が云いました。」「馬がそう云ったんですか。」「馬がそう云ったそうですよ。わっしゃ馬から聞きやした。(おい、情けないこと云うじゃないか、おいらはひどく餓えてんだ。