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マルクスしゅぎとゆいぶつろん
マルクス主義と唯物論
三木 清
「思想」1927(昭和2)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,739 字 · 43 页
Analyse)にほかならなかったのである。彼はまたこうもいっている、「私は精神上の自然研究者にほかならぬ、ところで自然研究者は器具なしには、物質的なる手段なしには何事もなし得ない。」物質的なる手段とは経験の謂である。もし我々が同様の思想をマルクスにおいて見出し得なかったならばむしろ不思議であるであろう。実際、彼はいっている、「我々がそれをもって始めるところの前提は、随意なものではなく、ドグマではない、それは、それからひとはただ想像においてのみ抽象し得る、現実的な前提である。……これらの前提は純粋に経験的な方法で確められることが出来る***。」また我々は、「この考察の仕方は無前提ではない。それは現実的な前提から出発し、それを瞬時といえども離れない。その前提は、何らかの空想的な閉鎖性と固定性における人間ではなく、かえって一定の条件のもとにおける、彼らの現実的な、経験的に見ることの出来る発展過程における人間である。」という言葉に出会う。マルクスは唯物史観の歴史考察を、従来の観念的な歴史叙述に対立せしめて、「現実的な歴史叙述」(die reale Geschichtschreibung)と呼んでいる****。