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マルクスしゅぎとゆいぶつろん
マルクス主義と唯物論
三木 清
「思想」1927(昭和2)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,739 字 · 43 页
唯物論の批判的実践的意義を認識することは極めて重要である。マルクスは『神聖家族』においてフランスの唯物論と対質するに際して、それのこの意義を明らかにしている。彼に従えば、フランスの唯物論にはその起源をデカルトにもつものと、ロックにもつものとの二つの方向が存在する。前者は本来の自然科学の中へ流れ込んでしまったに反して、後者は直接に社会主義または共産主義と結合した。例えばフーリエは直接にフランスの唯物論の思想から出立している。共産主義と十八世紀の唯物論との連関は、主として、このものが神学や観念論的な形而上学、そして両者から影響されている道徳に対して行なった批判の鋭さのうちに存する。唯物論は神学の独断的な信仰、形而上学と倫理学との説く永遠なる観念や理念に反対して、時と境遇とに応じて人間の道徳や価値判断の変化することを教えた。マルクスはイギリスおよびフランスの社会主義または共産主義が唯物論の社会批判的方面と特に密接に結合していることを示している。彼は、「人間の本性の善、平等な知的天分、経験、習慣、教育の万能、人間に対する外的境遇の影響、産業の重大な意味、享楽の是認、等々に関する唯物論の説から、それと共産主義および社会主義との必然的な連関を洞見するには、大なる慧眼を少しも必要としない*。