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マルクスしゅぎとゆいぶつろん

マルクス主義と唯物論

三木 清

「思想」1927(昭和2)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,739 字 · 43 页

青空文庫

理論と実践との対立物は相互に制約し合い、実践は理論に指導されることによって発展し、かくして発展した実践はさらに新しき段階における理論を要求する。理論は実践を発展させるとともに自己を発展させ、かくして発展した理論はさらに新しき段階における実践を要求する。理論と実践とはかかる必然的統一においておのおのの段階を通じて相互に発展する。かくのごとき弁証法的統一の故に、理論は決して現実の地盤から游離することが出来ない。マルクス主義がひとつのイデオロギーでありながら、決して悪しき意味におけるイデオロギーであり得ない理由は根本的にはここに横たわっている。またあたかもその故に、ひとはマルクス主義の概念のもとに固定したドグマを考うべきでなく、かえってつねに発展の過程にある現実的なる理論を理解すべきである。そしてマルクス主義が従来の哲学的用語法における相対主義もしくは絶対主義のいかなるものでもない理由は、またまさにその故である。この理論と実践との弁証法的統一においてマルクス主義はそれの現実性の頂点に到達する。マルクス主義が単に従来の唯物論に対してのみならず、またあらゆる観念論に対して、理論として有する最も固有なるもの、最も優越なるものは、実にかくのごとき弁証法のうちに表現されている。