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マルクスしゅぎとゆいぶつろん
マルクス主義と唯物論
三木 清
「思想」1927(昭和2)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,739 字 · 43 页
人間は言うまでもなく精神物理的統一体である。この存在を感性的として規定するとき、それは感覚主義的観念論の立場を採るものではもとよりないが、しかしながらまたそれは精神から絶対に分離された物質を説く機械的唯物論の立場に与するものでも断じてない。「真理は唯物論でも観念論でもなく、生理学でも心理学でもない。真理はただアントロポロギー(人間学)である*」、とフォイエルバッハはいっている。彼は抽象的な観念論や唯物論に反対して、具体的なる、人間学的なる立場を支持する。単に霊魂が考えたり、感じたりするのでないと同じく、また単に脳髄が考えたり、感じたりするのでない。意識とはかえって全体的な人間的存在の具体的なる存在の仕方にほかならない。マルクスが「意識(das Bewusstsein)とは意識された存在(das bewusste Sein)以外の何物でも決してあり得ない」、といったのはこの意味に解されねばならぬであろう。総じて精神と物質とを絶対的に対立せしめ、その一つを排してその他を樹てる思想は、いずれも抽象的思惟の産物に過ぎぬ。そこでまたフォイエルバッハは記している、「人間を身体と精神に、感性的本質と非感性的本質とに分離することは、ただひとつの理論的なる分離である。