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ロボットとベッドのじゅうりょう

ロボットとベッドの重量

直木 三十五

「新青年」博文館、1931(昭和6)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,963 字 · 18 页

青空文庫

「俺は、機械技師だが――このロボットに対してだけは、生理学的の研究を加えてある。」

「そうらしいわね。」

「それから――同時に、俺は、霊魂の神秘を、信じる事ができる。」

「霊魂?」

「ロボットを愛さなくなれば、彼奴は、御前に復仇する。」

「あのロボットが――」

「ああ。」

「どんな復讐?」

「殺す。」

夫人は、黙って――だが、心の中では、この執拗な愛に、憎悪と、軽蔑とを感じて、

「そう。」

と、一言だけ、軽くいった。

「もう、二、三日しかもつまいが――俺は、俺の精神をこめた、三号ロボ以外に、御前を渡したくないんだ。」

「また始まったのね。よく、判っているわ。」

「俺にも、よく判っているから、幾度もいうんだ。御前は、もう、独身で居れなくなっているから――」

「だから、ロボさんを愛していたらいいじゃないの。」

窓は半分閉じて、カーテンがかかっていたし、ベッドの半分にも、カーテンがかかっていた。壁の織物、クルミ床の上の支那絨氈、大きいスタンド、白大理石の鏡台、そんな物が、悉く、陰鬱に、黙り込んでいた。夫人は、

(誰か、見舞人でも、来ないかしら)

と、ちらっと、考えたり、ロボットの巧妙な、そして、人間とはちがった異状な感覚を、回想したりしていた。