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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
しかし二人の言語挙動を非道く異様に、しかも不愉快に感じた。そして何故か知らないが、この出来事をお母様に問うことを憚った。
*
七つになった。
お父様が東京からお帰になった。僕は藩の学問所の址に出来た学校に通うことになった。
内から学校へ往くには、門の前のお濠の西のはずれにある木戸を通るのである。木戸の番所の址がまだ元のままになっていて、五十ばかりのじいさんが住んでいる。女房も子供もある。子供は僕と同年位の男の子で、襤褸を着て、いつも二本棒を垂らしている。その子が僕の通る度に、指を銜えて僕を見る。僕は厭悪と多少の畏怖とを以てこの子を見て通るのであった。
或日木戸を通るとき、いつも外に立っている子が見えなかった。おれはあの子はどうしたかと思いながら、通り過ぎようとした。その時番所址の家の中で、じいさんの声がした。
「こりい。それう持ってわやくをしちゃあいけんちゅうのに」
僕はふいと立ち留って声のする方を見た。じいさんは胡坐をかいて草鞋を作っている。今叱ったのは、子供が藁を打つ槌を持ち出そうとしたからである。子供は槌を措いておれの方を見た。