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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
若し物でも言うと、すぐに友達仲間で嘲弄する。そこで女の友達というものはなかった。親類には娘の子もあったが、節句だとか法事だとかいうので来ることがあっても、余所行の着物を着て、お化粧をして来て、大人しく何か食べて帰るばかりであった。心安いのはない。只内の裏に、藩の時に小人と云ったものが住んでいて、その娘に同年位なのがいた。名は勝と云った。小さい蝶々髷を結っておりおり内へ遊びに来る。色の白い頬っぺたの膨らんだ子で、性質が極素直であった。この子が、気の毒にも、僕の試験の対象物にせられた。
五月雨の晴れた頃であった。お母様は相変らず機を織っていらっしゃる。蒸暑い午過で、内へ針為事に来て、台所の手伝をしている婆あさんは昼寝をしている。お母様の梭の音のみが、ひっそりしている家に響き渡っている。
僕は裏庭の蔵の前で、蜻の尻に糸を附けて飛ばせていた。花の一ぱい咲いている百日紅の木に、蝉が来て鳴き出した。覗いて見たが、高い処なので取れそうにない。そこへ勝が来た。勝も内のものが昼寝をしたので、寂しくなって出掛けて来たのである。
「遊びましょうやあ」
これが挨拶である。