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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
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十九になった。
七月に大学を卒業した。表向の年齢を見て、二十になったばかりで学士になるとは珍らしいと人が云った。実は二十にもなってはいなかった。とうとう女というものを知らずに卒業した。これは確に古賀と児島とのお蔭である。そして児島だけは、僕より年は上であったが、やはり女を知らなかったらしい。
その当座宴会がむやみにある。上野の松源という料理屋がその頃盛であった。そこへ卒業生一同で教授を請待した。
数寄屋町、同朋町の芸者やお酌が大勢来た。宴会で芸者を見たのはこれが始である。
今でも学生が卒業する度に謝恩会ということがある。しかし今からあの時の事を思って見ると、客も芸者も風が変っている。
今は学士になると、別に優遇はせられないまでも、ひどく粗末にもせられないようだ。あの頃は僕なんぞをば、芸者がまるで人間とは思っていなかった。
あの晩の松源の宴会は、はっきりと僕の記憶に残っている。床の間の前に並んでいる教授がたの処へ、卒業生が交る交るお杯を頂戴しに行く。教授の中には、わざと卒業生の前へ来て胡坐をかいて話をする人もある。席は大分入り乱れて来た。