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せんきゅうひゃくさんじゅうにねんのはる
一九三二年の春
宮本 百合子
「改造」(はじめの約15枚分)1932(昭和7)年8月号、「プロレタリア文学」(残りを追加して再掲)1933(昭和8)年1~2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,942 字 · 44 页
とわたしは笑った。○○君は向いあって炬燵に当り、茶うけの香のものをつまみながら、
「一つ『生糸』を書きなさい。大いに後援しますよ」
と云った。
「サークルで組織的に書くことはまだ出来ませんか?」
「そこまでは行っていないね。――だが、正直なところ、私はこの頃になってやっとプロレタリア文化運動のねうちが分りましたね、サークルというものはいいね。何にでもつかえる、やって見て実際驚いた。作家同盟でも、これまで大衆化の問題では、いろいろの経験をやったらしいけれどもサークル活動で本ものになりましたね」
一九三一年の大会を通じて、作家同盟は文学サークルを企業・農村のうちに組織する仕事をはじめた。音楽家同盟、演劇同盟、美術家同盟なども同じ活動を開始し、解放運動における政治闘争・経済闘争・文化闘争との間に必然的にある有機的な統一と、差別とがマルクス主義の立場からしっかり把握され、実践されはじめた。これは、日本の階級闘争の画期的進展を示すものであるし、同時にプロレタリア作家の階級的質を目に見えて向上させている。(作家同盟のサークル員は全国で四千五百名ある。東京、千四百三十八人中、婦人サークル員は百四十五人いる。