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いっすんぼうし

一寸法師

江戸川 乱歩

「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页

青空文庫

親父は一人娘で甘いのだし、お母さんは継しい仲で、十分しつけが出来ないのだから、無理もないけれど、三千子さんという人は、恐らく生れつきの淫婦ではないかと思うね。

これは山野夫人からもらって来た、三千子さんの最近の写真なんだが、この写真を見ても、三千子さんの性質が想像出来る」

明智は卓上の大型の写真を取って、つくづく眺めながらいった。それは山野の家族一同がそろって撮したもので、大五郎氏を中心にして召使などもすっかり顔を並べていた。

「僕は三千子さんばかりでなく、運転手の蕗屋の顔が知りたくて態とこの大勢で撮ったのをもらって来たのだよ。そこにある破れた手紙によると、蕗屋がこの事件に何かのかかわりを持っていることは確だからね」明智は一寸説明を加えた。「僕は人間の顔を見ることが好きだ。じっと相手の顔を見つめていると、そこから何かしらわいて来るものがある。その人物の過去のあらゆる物語が小さな顔面に結晶している様な気がする。それを一つ一つほぐして行くのは非常に面白い。この三千子さんの表情なんかも色々なことを語っている。第一に来るのは人工という感じだ。作りものという感じだ。