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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
「これは一層明智でも訪問して気を紛らした方がいいかも知れない。三日ばかり会わないのだから、探偵の方も余程進捗しているだろうし、それにこの間はなぜか隠す様にしていたが、どうやらO町の家の秘密を握っている様子だから、一つ詳しく聞出してやろう」
紋三はふとそんな風に考えた。それというのが、彼はこの事件で夫人の勤めた役割を明智の口から早く聞きたかったのだ。
明智は今日も宿にいた。いつの間に働くのだか分らない様な男だった。
「ヤア、丁度いい所だった」
紋三が女中のあとについて部屋にはいると、例によって明智のニコニコ顔があった。
「実はね、三千子さんの事件が大体形がついたのだよ。君にも知らせようと思っていた所なんだ」
「じゃ、犯人が分ったのですか」
紋三はびっくりして尋ねた。
「それはとっくに分っていたさ。ただね、今日まで発表出来ない訳があったのだよ。それについて、実はこれから捕物に出かけるのだ、今に警視庁の連中が僕を迎えにくることになっている。僕が指揮官という訳でね。それに今日は珍しく刑事部長御自身出馬なんだ。心易いものだからね。僕が引っぱりだしたんだよ。だが、この捕物は十分それだけの値打がある。