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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
「エ、何ですって、身体が不自由と申しますと?」
坊さんは目をパチクリさせて問い返した。
「脊の低い人です。確か昨夜非常に遅く帰られたと思うのですが」
紋三は変なことをいい出したなと意識すると、一層しどろもどろになった。来る道々、考えて置いた策略なんかどこかへ飛んで行ってしまった。
「それは、お門違いじゃありませんかな。ここには人を置いたりしませんですよ。脊の低い身体の不自由な者なんて、一向心当りがございませんな」
「確このお寺だと思うのですが、附近に外にお寺はありませんね」
紋三は疑い深か相に、庫裏の中をじろじろ眺めまわしながらいった。
「近くにはありませんな。だが、おっしゃる様な人はここにはおりませんよ」
坊さんは、変な奴だといわぬばかりに、紋三をにらみつけて、無愛想に答えた。
紋三はもう持ちこたえられなくなって、このまま帰ろうかと思ったが、やっと勇気を出して続けた。
「イヤ、実はね、昨夜ここの所で変なものを見たのですよ」彼はそういいながら、ズカズカと中へ入って上り框に腰をおろした。「よく見世物などに出る小人ですな、あれがある品物を持って、ここの庫裏へ入る所を見たのですよ。