轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひとすじのなわ
一条の縄
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,201 字 · 11 页
月の冴えた十一月の或る夜である。
二羽の鴨が、田の畔をたどりたどり餌を漁って居る。
収獲を終った水田の広い面には、茶筅の様な稲の切り株がゾクゾク並んで、乾き切って凍て付いた所々には、深い亀裂破れが出来て居る。
小路は霜で白く光り、寒げな靄に立ちこめられた彼方には、遠く高い山並みや木立の影が夢の様に浮き上って、人家の灯かげがところ、どころにチラチラと、小さく暖かそうに瞬いて居る。
そよりともしない夜更けの寒い静かな裡に、二つのひしゃげた影坊師がヨチヨチと動いて行くのである。
彼等は折々立ち止まって、水溜りに嘴を突込んでは意地の汚なそうな、ジュ、ジュジュ、ジュと云う音を立てながら歩いて行った。
「お月様は明るい。
餌はまあかなり工合の好い方だ。
おまけに、自分達は若いんだし、奇麗だし、仲は好いし……
ほんとに好い気持だなあ。
雄鴨は非常に愉快であった。
自分のすぐ傍を、小じんまりした形の好い形を左右に揺りながら、さも嬉しそうについて来る雌鴨を、目を大きくしてながめると、一杯にこみあげて来る満足を押え切れない様に、若い雄鴨は大羽ばたきをして、笛の様に喉をならした。