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いっぴょうのきょうくん
一票の教訓
宮本 百合子
「婦人公論」1946(昭和21)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,876 字 · 12 页
特に、生活資金の二百円削減は、日常生活に甚大に響き、物価高、米の配給遅延の悪条件、失業の増大等、どんな婦人の心にも、このままではやってゆけない切迫感を湧きたたせている。婦人立候補者の大部分は「政治と台所の直結」といい「女の問題は女で」といい、その現実めいた言葉は、藁にでもすがろうとする婦人の要求に訴えるところがあったに違いない。女なら女のことを解決するかもしれない、というぼんやりした婦人たちの期待は、時期尚早のうちに強行された選挙準備のうちに、決して、慎重に政党の真意を計るところまで高められようもなかった。連記制は、この未熟さに拍車をかけて、三名選挙するのなら、それぞれ全く反対の立場の政党の有名人一人ずつに、男へ投票するなら女も、と、婦人一名という工合に、気まかせに組合わされた。つまり、政府で売出す富くじみたいに、三様に書いてみれば、どれか一つには当るかもしれないという、不信頼と心だのみの入れ交った気分が動いたろうと思う。
総選挙がすんで、ほぼ二週間経とうとしている。今日、わたしたちが日々目撃している光景は、全く独特なものである。ドイツと日本の食糧事情は最悪であると、警報がかかげられている。