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みっつのたから

三つの宝

芥川 竜之介

三个盗贼为了一双能飞千里的靴子、一件隐身斗篷和一把削铁如泥的剑大打出手。路过的王子想劝架,结果自己也被卷了进去。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,156 字 · 15 页

青空文庫

王子 それは穴があいている。が、穴はあいていても、一飛びに千里飛ばれるのだ。

主人 ほんとうですか?

王子 (憐むように)お前には嘘だと思われるかも知れない。よし、それならば飛んで見せる。入口の戸をあけて置いてくれ。好いか。飛び上ったと思うと見えなくなるぞ。

主人 その前に御勘定を頂きましょうか?

王子 何、すぐに帰って来る。土産には何を持って来てやろう。イタリアの柘榴か、イスパニアの真桑瓜か、それともずっと遠いアラビアの無花果か?

主人 御土産ならば何でも結構です。まあ飛んで見せて下さい。

王子 では飛ぶぞ。一、二、三!

王子は勢好く飛び上る。が、戸口へも届かない内に、どたりと尻餅をついてしまう。

一同どっと笑い立てる。

主人 こんな事だろうと思ったよ。

第一の農夫 干里どころか、二三間も飛ばなかったぜ。

第二の農夫 何、千里飛んだのさ。一度千里飛んで置いて、また千里飛び返ったから、もとの所へ来てしまったのだろう。

第一の農夫 冗談じゃない。そんな莫迦な事があるものか。

一同大笑いになる。王子はすごすご起き上りながら、酒場の外へ行こうとする。

主人 もしもし御勘定を置いて行って下さい。