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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页
妾の全身は、急に滾々と精力の泉が湧きだしてきたように思えて肩の凝りも半分ぐらいははやどこかへ吹き飛んでしまった。
「ねえ奥さん」
と真一はすこし改まった調子で妾に呼びかけた。
「あの静枝さんという女は、ありゃ本当は何なんです」
「オヤ早もう目をつけているの、ホホホホ」
妾はそこで彼女が妾の探していた双生児の一人らしいこと、又速水女史の手で探しだされたことなどを詳しく話した。
「へえそうですか」
と彼は軽蔑したような口調でいった。
「そりゃ奥さん、大出鱈目ですよ」
「出鱈目だって」
「そうです、みんな嘘っ八ですよ。こうなれば皆申上げてしまいますがネ、あの女は暫く僕と同座していたことがあるのです。やっぱり銀平の一団でしたよ。お八重というのが本名で、表向きは蛇使いですよ」
「人違いじゃない? 速水さんの調べが済んでるのよ」
「いまに尻尾を出すから見ていてごらんなさい。第一年齢が物を云いますよ。あの女は申年なんで、今年はやっと二十一です。奥さんは午の二十三でしょう。それでいて二人が双生児というのは変じゃありませんか。ま、御用心、御用心ですよ」
そういって真一は立ち去った。