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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

「ああ、そうですか。それを聞いて、たいへん安心しました」

マルモ隊長も、はじめてにっこり笑った。

見え出した火星

火星へ、火星へ――

ずんずんとロケット新月号は、大宇宙を進んで行く。

月世界を離れたとき、火星への距離はだいたい七千万キロだった。

三ヶ月ほどの進空ののち、火星に達する計算であるが、そのときは火星が地球や月に対して一番近くなっているときで、火星と地球との距離は五千六百万キロほどになっているはずだった。

だから月世界を離れたロケット新月号は、当時の火星の距離七千万キロを飛ばなくてもすむのだった。つまり三ヶ月のうちに、火星の方が自分でこっちへ近づいてくれるから、それだけ新月号の方では行程を短縮することができるわけだった。

貴重なる資源ルナビゥムを積みこむことが出来たので、新月号のスピードは予定のとおりにあがり、火星へ達する日も、予定日を狂わないだろうと思われた。

万事が好調にいっている。

一ヶ月経ち、二ヶ月経ち、次の第三ヶ月目にはいった。

新月号と地球との間には、たえず通信が交換されており、テレビジョンも受けたり、こっちから送ったりしていた。