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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
だが、この退屈で平穏な暗黒の空の旅は、地球の方ではあまり歓迎しなかった。
それにひきかえ、乗組員たちは、地球からの通信やラジオ放送やテレビジョンを、出来るだけ多く受信して、聞いたり見たりしたがった。むりもないことであった。もうほんとうに、いつも同じ新月号の中に起き伏しし、窓から外をのぞけば、いつも同じようにまっくらな空にダイヤモンドをちりばめたように星が光っているのであった。全くこの単調な生活には、どんな辛抱づよい人間でも、がまんがならなくなるのだ。
そのころ、この唯一の、そして最も大きな慰めである通信がどうも今までのように、工合よくはこばなくなった。
通信局の連中は、ようやく仕事の種が発生したので、退屈からのがれると、大よろこびであった。
だが、通信の不調の原因は、よく分からなかった。これが地球の上なら、磁気嵐のせいであるとか、デリンジャー現象だとかいえる種類の不調だったが、こんな宇宙の一角で、そうした原因でこんな不調が起るはずはなかった。
「これは重大だ。ひょっとすると、一大椿事発生の先触かもしれない。みなさん、ゆだんなく気をつけて下さい」
通信局長のスミレ女史は、とうとう全局員に対し、警戒を命じた。