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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

ただ、満月――いや満地になったり、三日月――ではない三日地になったり、日に日に影の大ききがちがっていくだけだった。

「ふーン。どうも気がへんになりそうだ、しょうがない」

正吉は、そういって、頭を抱えることが初めのうちはよくあった。

料理番のキンちゃんと来たら、その理屈がさっぱりのみこめないので、正吉ほどにおどろいていなかったようである。

こんな話は後の話だ。さて九台の装甲車は、みんなロケットの外に出た。

無電の命令が伝えられる。

と、一号車を先頭にして、九台の装甲車は月の上を走り出した。どこへ行くのであろうか。

それはともかく、こうして走っていると、地球の、どこかの沙漠を夜、走っているのと大して気分がちがわない。

意外な発見

二時間ばかり走って、装甲車は停った。

前に、ひどく高い山が見える。山頂がきらきらと輝いている。

「どうするんですか。下りるんでしょうね」

正吉がカンノ博士にきいた。

同じ車に乗っている他の人たちの中には、空気服を着はじめた者もあるから、正吉は、ははあと察したのである。

「下りることは下りるが、その前に隕石がとんでいないかどうかをレーダーで調べておく必要がある。