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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

今、あそこでやっているのが、そうだ」

なるほど、通信員が、レーダーの電波の反射を見ている。

「あ、一つ来ますよ。すぐ近くまで落ちて来ています」

と、その通信員がいった。

そのことばが終るか終らないうちに、正吉は思いがけないものを見た。目の前の山の頂きが、とつぜんぱっと赤く光ったのである。

「あッ、隕石が山にぶつかった」

カンノ博士の声。正吉は息をのんだ。

隕石のぶつかった山頭から雪崩のように隕石が崩れ落ちるのが見えた。どれが隕石やら、月山のかけらやら見分けがつかない。

「まあ、よかった。ここへ落ちて来なくてよかった」

カンノ博士は吐息をした。

通信員がレーダー観測の結果を知らせて来た。

「隕石はもう見あたりません」

もう大丈夫だ。カンノ博士はマルモ隊長にそれを報告した。

「作業班、出発用意」

作業班の人々は、急いで空気服をつける。カンノ博士もマルモ隊長も、空気服をつけた。正吉少年もつけた。キンちゃんが正吉のそばへ来て笑う。

「人間がイカに化けたようだなあ。銀色の大イカだ。月の怪物があんたを見つけたら、これはごちそうさまといって、手足をむしって、ぱくぱくたべてしまうぜ。