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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

鉄扉へ、装甲車の中にある発電機から、電気が通じられると、洞門の扉はぎいぎいと上へまきとられて、入口はあいた。

四台の装甲車は、その中へはいっていった。カコ技師が若い技術員をさしずして、発電室で電気を起させた。間もなく内部には、あかるく電燈がついた。そして洞穴利用の倉庫がどんなものか、はっきり見えた。

正吉少年は、さっきから空気服に身をかため、カコ技師のうしろについて、あっちへ行ったり、こっちへ来たりしていたが、電燈がぱっとついたときに、「おお」とおどろきの声をあげた。

じつに大仕掛の倉庫であった。まるで地底の大工場へ行ったような気がする。各種のエンジンの予備品が、数も知れないほどたくさん、ずらりと並んでいた。その部品も、番号札をつけて、棚という棚をうずめつくしている。

「ねえ、カコさん。なぜこんなに、たくさんの機械るいをたくわえておくのですか」

正吉少年はたずねた。もちろん電波を使っての会話だ。

「それはね、宇宙探検の途中で、ロケットがこわれることがよくある。そのとき地球までひっかえすことができない場合もある。だから月の世界に、修理材料や、とりかえ用のエンジンなどをたくわえておけば、地球まではもどれない故障ロケットも月世界に不時着して、故障をなおすことができる。