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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
経営者側のキンちゃんも虎さんも、だいぶんもうかっているらしい。しかし、かんじんのアブラ虫は、そうたびたびは競走をくりかえさない。つまり競走をするのも、バターやジャガイモをなめに行くためであるから、一回なめると腹がふくれる。二度目、三度目といううちに、すっかりたべあきてしまって、ゴールのところでバターがにおっても、あぶら虫はかけださないのだ。
「ねえ、ちび旦那。あんた一つ、あぶら虫を飼って、数をふやす係をやってくれませんか。そうしたら、うんと手当を払いますぜ」
キンちゃんは、大まじめでそんなことを正吉に申し入れた。
正吉は、アブラ虫にくいつかれたことがあって、アブラ虫はきらいだからと、キンちゃんにことわりをいった。
月人の秘密
それから正吉は、艇長室へいった。
そこではマルモ隊長をはじめ、カンノ博士やスミレ女史、それからカコ技師もあつまっていた。
もう一人、モウリ博士の白髪頭が交っていた。博士は、さっきまで寝ていたはず。ここへ出てきたのは、疲れが直ったからであろう。思いのほか元気な老博士だった。
みんなは、モウリ博士の話に熱心に聞き入っている。
「おお、正吉か。