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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页

青空文庫

よし子の記憶にはまるでないのだろう。

「そういう関係で美禰子さんは広田先生の家へ出入をなさるんですね」

「ええ。死んだにいさんが広田先生とはたいへん仲良しだったそうです。それに美禰子さんは英語が好きだから、時々英語を習いにいらっしゃるんでしょう」

「こちらへも来ますか」

よし子はいつのまにか、水彩画の続きをかき始めた。三四郎がそばにいるのがまるで苦になっていない。それでいて、よく返事をする。

「美禰子さん?」と聞きながら、柿の木の下にある藁葺屋根に影をつけたが、

「少し黒すぎますね」と絵を三四郎の前へ出した。三四郎は今度は正直に、

「ええ、少し黒すぎます」と答えた。すると、よし子は画筆に水を含ませて、黒い所を洗いながら、

「いらっしゃいますわ」とようやく三四郎に返事をした。

「たびたび?」

「ええたびたび」とよし子は依然として画紙に向かっている。三四郎は、よし子が絵のつづきをかきだしてから、問答がたいへん楽になった。

しばらく無言のまま、絵のなかをのぞいていると、よし子はたんねんに藁葺屋根の黒い影を洗っていたが、あまり水が多すぎたのと、筆の使い方がなかなか不慣れなので、黒いものがかってに四方へ浮き出して、せっかく赤くできた柿が、陰干の渋柿のような色になった。