轻松读懂日语经典作品
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さんしろう
三四郎
三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页
二人はまた無言で五、六間来た。三四郎は突然口を開いた。
「本当は金を返しに行ったのじゃありません」
美禰子はしばらく返事をしなかった。やがて、静かに言った。
「お金は私もいりません。持っていらっしゃい」
三四郎は堪えられなくなった。急に、
「ただ、あなたに会いたいから行ったのです」と言って、横に女の顔をのぞきこんだ。女は三四郎を見なかった。その時三四郎の耳に、女の口をもれたかすかなため息が聞こえた。
「お金は……」
「金なんぞ……」
二人の会話は双方とも意味をなさないで、途中で切れた。それなりで、また小半町ほど来た。今度は女から話しかけた。
「原口さんの絵を御覧になって、どうお思いなすって」
答え方がいろいろあるので、三四郎は返事をせずに少しのあいだ歩いた。
「あんまりでき方が早いのでお驚きなさりゃしなくって」
「ええ」と言ったが、じつははじめて気がついた。考えると、原口が広田先生の所へ来て、美禰子の肖像をかく意志をもらしてから、まだ一か月ぐらいにしかならない。展覧会で直接に美禰子に依頼していたのは、それよりのちのことである。三四郎は絵の道に暗いから、あんな大きな額が、どのくらいな速度で仕上げられるものか、ほとんど想像のほかにあったが、美禰子から注意されてみると、あまり早くできすぎているように思われる。