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さんりょうきょう
三稜鏡
佐左木 俊郎
(笠松博士の奇怪な外科手術)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,347 字 · 42 页
首と胴とを、別々にして捨てるなどと云うことは余程考えて……」
司法主任がそう云いかけているところへ、受付係の巡査が、急いで寄って来た。
「署長殿。首無し死体事件の、犯人も被疑者も、両方とも知っていると云う男が参りました。お会いになりますか?」
受付係は姿勢を正しながら云った。
「参考までに会って見よう」
署長は眼をるようにしながら云った。受付係は急いで戻って行った。急に緊張した空気が漲って来た。
「この方です」
受付係の巡査がそう云って、そこへ伴れて来たのは、身窄らしい洋服の、蒼白い顔の青年であった。
「僕は本当に知っているのです。犯人は間違いなく笠松博士ですよ。そして被害者と云うのは博士の令嬢です」
青年は眼をきょときょとさせながら喘ぐようにして云うのだった。
「貴下は、何うしてそれを、知っているのですか?」
署長は微笑を含みながらそう云って、青年に椅子をすすめた。
「僕は知っています。僕は、笠松博士の研究助手として、博士のところにいたのですから、何もかも知っているのです。詳しく申し上げると長くなりますが……」
=暗転=
笠松博士には、前々から、観念構成虧欠症性の微弱徴候と、誇大妄想狂的精神欠陥とがあった。