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かんばやしからのてがみ

上林からの手紙

宮本 百合子

「サンデー毎日」1936(昭和11)年11月15日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,762 字 · 6 页

青空文庫

櫛比した宿屋と宿屋との軒のあわいを、乗合自動車がすれすれに通るのであるから、太い木綿縞のドテラの上に小さい丸髷の後姿で、横から見ると、ドテラになってもなおその襟に大輪の黄菊をつけている一群は、あわてて一列縦隊をつくり、宿屋の店先へすりついて、のろのろと進むのである。

駅の横手に林檎畑があった。背面の濃い杉山には白い靄が流れている雨の晴れ間に、濡れた林檎が枝もたわわに色づいており、山内劇場と染め出した浅黄の幟が、野菜畑のあぜに立っていた。

〔一九三六年十一月〕