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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

一~十一、十六「中央公論」1929(昭和4)年11月号、十二~十五(「戦い」の表題で。)「戦記」1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,990 字 · 141 页

青空文庫

研究会の人が農村について云った。今のこの世の中の組織――しくみが変らない以上、どんな事をしても農民は駄目になって行く。勿論この忙がしい都会の制度に当てはまるように直して行くこと、例えば百姓がチリヂリ、バラバラに仕事をすると、どうしたってヒドイ目に会うから、まア協同組合、協同耕作、協同経営そんなものでも作って、中に入る猾るい商人に儲けさせない方法もある、然しそれも程度もので、ウマク行く筈がない。――だから、何んと云ったって、ドンドン小作争議をやって、小作人の生活を向上させて行くことだ。これより無い。――要するに、ロシアのように労働者と百姓だけで国を治めて行かない限り、どうしてもウマク行かない。――皆この意見だ。云われて見れば、どれもこれも胸へピンピン来るではないか。

農村に一国の政治、経済の中心地があったことがあるか。享楽、外交、流行、芸術の中心地であったことがあるか、――考えるさえコッケイだ。昔五つか六つでしかなかった「都会」が短い間にどんなに急激に殖えたか。――人口から云っても、もう半分以上は都会に集ってしまっている。これだけ見ても分る。然し「都会」