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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

在线阅读戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 页

青空文庫

寒さを感じることは吾々が自己を了解することだ。自分の人間的存在の理解に他ならぬのだ、というのである。

ところでこの寒さは「気候」というものの中の一環に過ぎなく、そして気候というものは「ある土地の地味地形景観」などとの連関においてのみ体験せられる。ところでつまり、これが風土というものだ。だから我々は、風土において、我々自身を、間柄としての吾々自身を、見出すのであり、吾々自身を了解するのである。――かくて風土とは、吾々人間存在の間柄が、自己了解される一つの仕方を指すわけだ。人間の自己了解のあり方の一つが風土というわけだ。

さて注意すべきは、この風土というものが主観でも客観でもないものだという、一つの根本的な観点である。風土が素より主観なのではあり得ないのは当然だ。だが又それは客観でもない。つまり主観に何等かの作用(或いは因果関係)を与えるだろう客観、つまりそれは自然と普通呼ばれているものだが、そうした自然なのではないのである。風土はそういう自然科学的な範疇ではなくて、主客の対立などを根源的に踏み越えたところの、正に人間学的なカテゴリーと考えられている。