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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

在线阅读戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 页

青空文庫

之は当然のことだったから褒めることも貶なすことも出来ない。だが注意すべき点は、それが想定したマルクス主義的常識に対して、その抵抗力を強める代りに却って多少とも之を弱める方向に働く可能性をば著しく有っていたということにある。抵抗力を刺激して、平板なものを強力なものにまで高める筈であったこの積極的新思想は、実際の態度としてはそういう役割はいつかすっかり忘れて了ったようだ。

さてそこで第二のメシヤとして現われたものがヒューマニズムなのである。之は前に云ったようにルネサンス以来の権威ある旧約に応うものであった。人間性の恢復ということがその予言であった。恰も日本は、今ではもはや何人も疑えないような形で「ファッショ化」の過程(日本型に特有な持久性を有つ処の)を刻々に辿りつつある。それに対する抵抗力がマルクス主義的常識である。して見れば、ファッショ化による人間性の喪失(少なくとも大衆の側に於て)から人間性を恢復するものが、即ちこのヒューマニズムだということになるだろう。一応そう考えられるのだ。――処がヒューマニズム論者は正直な処まず何を考えたか。人間性を何から恢復しなければならなかったか。