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せかいのかふ

世界の寡婦

宮本 百合子

「婦人公論」1946(昭和21)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,525 字 · 17 页

青空文庫

第一次大戦の惨禍は生きているものに、平和を警告しつづける記念物として、ヴェルダンの廃市に一望果ない戦死者墓地となってのこっていた。パリの華麗なシャン・ゼ・リゼのつき当りの凱旋門の中に、夜毎兵士に守られて燃えつづけていた戦死者記念常夜燈に、平和は求め叫ばれつづけていた。

二十五年めに、ナチス・ドイツの乱暴な侵略で第二の大戦がはじまったとき、民主国の男女は怒りに燃え、この世界にもう決して戦争がおこらなくするために立った。そして、愛する人類の平和のために、愛する人を捧げ、自身の幸福と平安とを断念したのであった。

そのようにして、愛するものを失った女性が、涙と血をとおして、平和のための婦人の民主団体をこしらえた心は、私たち日本の女性にもひしひしとうなずける。ヨーロッパ諸国で、この戦争のあとでは婦人が建設のすべての面に進出し、しかもそれらの婦人たちがこれからの社会をどうみているかといえば、ほとんどすべてが政党でいえば、「真中から左」を立ち場としているということにも、真実のよりどころがある。平和は、帝国主義の戦争に賛成しないものによって、はじめてうそとかけひきなしに確保されるのであるから。