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『せっかずせつ』のけんきゅう

中谷宇吉郎集 第二巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页

青空文庫

しかし吾々の祖先が代々昔からあのように、この湯治の習慣に一種の信仰をおいてきたところをみると、そしてそれが永い間続いてきたところをみると、やはりなんらかの意味で本当に効く点があるのではなかろうかという気もする。一番よくいわれるのは、夏の間に湯治に行くと、その冬は風邪をひかないという話である。北海道の開拓移民のような恐ろしい生活をしている人々でも、夏の中に一廻り湯治に行くと、その冬は風邪もひかず、移民生活につきもののリウマチスも出ないという話はよく聞くことである。一廻りというのは普通は三週間を指しているようであるが、二週間くらいでも良いともいわれている。もう少し前までは登別の温泉などは、この湯治客で大分賑ったという話であるが、この頃の農村の人々にはその程度のささやかな贅沢さえも許されなくなったようである。それでも登別などでは、今でもその習慣が残っていて、土地の一流の大きい宿屋でも湯治客のために特に安く、例えば一日八十銭くらいでも暮せるような制度が残っている。

信州の山の温泉、例えば発哺のような所では、十年前までは確かにこの湯治の客が、かなりあったのであるが、今はもう多分ずっと減ってしまったことだろうと思われる。