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なかざとかいざんの『だいぼさつとうげ』
中里介山の『大菩薩峠』
三田村 鳶魚
「日本及日本人」1932(昭和7)年10月15日号、11月1日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,523 字 · 27 页
しかるに好事魔多し、『隣人の友』という雑誌を拵えて、時々送ってくれるのを見ると、「大菩薩峠是非」という欄があって、毎号それに賛嘆文を麗々と掲げている。それを眺めて、惜しくない人であれば何でもないが、いかにも惜しい人であるだけに、忍びない心持もする。世間は人を育てて下さって、まことにありがたいものであるが、また人を損ねて下さるものも世間である。近来しきりに作者がいう「上求菩提」はよろしいとしても、「下化衆生」に至っては、作者などのいう文句にしては、少々重過ぎる。それが適当にいえる人が、世界に幾人いるだろうか。礼儀を超えてものを言う。殊に作者に対しては無礼であるかと思うことをも、遠慮なしに言うのは何のためであるか。作者に対する自分の心持と同様の心持の人は、けだし人間にも少いのではないかと思っている。
余計な話になった。さて一三二頁に「互の気合が沸き返る、人は繚乱として飛ぶ」というのは何のことだろう。散りしく花の花びらででもあったら、繚乱もいいかもしれないが、実に困った言葉だ。この作者もしきりに「平青眼」という言葉を使っているが、大衆作家はどうして揃いも揃って「正眼」