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ここのつのかぎ

九つの鍵

野村 胡堂

「少年時代」1949(昭和24)年1月~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,349 字 · 42 页

青空文庫

「その通りだ、九人の共同生活者の身辺のほかには、実際そんなものを隠す場所もなかったことはたしかだ、――九人というと、君と愛ちゃんとぼくとお祖父さんの義弟――三郎君には大叔父にあたる鬼頭九八郎とその娘の椿さん――この五人は肉身で、あとの四人は他人だ」

「その鬼頭の叔父がお祖父さんを裏切って敵に廻った、その上阿蘇の麓で一緒に生活していた、四人の人の住所もわからない」

話はきわめて絶望的でした、が、照国の誠一はその絶望的な状況のうちから、一筋の光明を見出そうとあせるのです。

「その肉身の五人の身辺に、一番大事な第一の鍵が隠されているにちがいない――すると、さしあたり君の身辺を探してみるのが近道じゃないか」照国の誠一は、ようやくここまでたどり着きました。

「いや、ぼくではあるまい。お祖父さんはこの上もなく愛子をかわいがっていたし、ぼくとちがって愛子の身辺には敵も見落しがあるだろうと思ったことだろう――敵がゆうべ愛子をさらったのは、案外そんな事を知っていてやったことではないのかな」

三郎は、さすがに日頃の冷静さを取りもどしました。

「おもしろい、それにちがいあるまい――が、愛ちゃんがさらわれては、どうにもならぬな」