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くたにやき

九谷焼

中谷 宇吉郎

「理学部会誌」1924(大正13)年11月21日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,535 字 · 13 页

青空文庫

僅か十五年位の間である。分業とか機械作業とかいうものの、有効なる実証であるなどという人があるかも知れぬ。

何に感じたのか知らぬが、私が小学校へは入る頃から、父は急に、こんな事では真正の九谷焼が滅亡してしまうと言い出して、当時大聖寺町に残っていた年とった画工たちと交際したり、型のように古い陶器を集めたりしていた。私の家は別に陶器屋ではないので、父は家業のひまに、何処から取って来たか色々の白い粘土を、火鉢の火の中に入れて見て「この色が変らなくて、嵩の減らない粘土がよいのだ」などといっていたことがあった。随分プレリミナリーな実験である。とうとう六年の時の春休みに帰った時、窯をつくるんだといって、庭の物置の隅に高さ五尺位の窯が造ってあった。簡単に粘土に壁土位でつくったものらしかった。乾くと、すぐ罅がは入った。父は夕方になると、その前に立って、丁寧にその罅を塗りつぶしていた。するとまたすぐ罅がは入った。そして私が夏の休みに帰った時も、まだ根気よく毎日塗りつぶしていた。しかし、とうとうその秋には、窯の方で根気負けをして、太陽がかんかん照りつけても、ちっとも罅がいらぬようになった。