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よがしゅっぱんじぎょう

予が出版事業

柳田 国男

「図書 第47号」岩波書店、1939(昭和14)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,913 字 · 10 页

青空文庫

後狩詞記

歌も格別おもしろく無いので、私は之を自分の仕事の中には入れて居ない。

後狩詞記

この本は現在むやみに景気がいいが、実は又私の著書では無く、日向の椎葉村の村長の口授を書写、それに或旧家の猟の伝書を添えて、やや長い序文だけを私が書いたもの、出したのは明治四十一年の冬だが、当の作者がまだ高齢で彼地に生きて居る。ただ此書を珍本にした技術に至っては、或は私のものということが出来るかも知れぬ。この年の五月の末に、私は東京を発して九州の南半を一巡し、広島まで還って来てから電命で又土佐へ渡り、百余日を累ねてへとへとに疲れて戻って来た。そうして病床に就いて退屈な日を送って居た際、気がついて見ると旅費が二十何円が剰って居る。是であれを本にしてやれと思って、積らせて見たところが丁度五十部だけ出来るという。本に番号を打つということはあの頃としては大きな気取であった。終りの数冊だけはつまらなく散らしたが、其他は悉く行先を控えて著者関係者、及び其当時自分の尊奉する限りの先輩へ、多くは手紙まで添えて拝呈したのであった。あんな百二十頁のちっぽけな本に、徳冨山路等の一流文士の批評が出て、其時から既に好事家に狙われて居たのである。