轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よしんちょうしょ
予審調書
平林 初之輔
「新青年」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,371 字 · 23 页
実際、偶然というものは人間の考えも及ばないような場合をつくり出すこともたまにはありますが、ああいう誂えむきな話を、裁判長に信じさせるということは、まず、余程困難だとみなければなりませんからねえ。」
もし篠崎判事の目的が、原田教授を苦しめて苦しめぬくことにありとすれば、彼の目的は完全に達せられたといってもよい。なぜかなら老教授は、ただ身体の中心をとって倒れずにいるのがもうせいぜいのように見えるからである。けれども判事の目的は、相手を苦しめぬくよりも以上であるらしい。少くも、老教授にはそうとよりとれなかった。
瀕死の病人は、死期が迫るにつれて、恢復の見込みを医師に頻繁にたずねるものである。そういう場合に老練な医師は患者を絶望させるようなことは決していわないものである。ところが、篠崎判事は、病人が息をひきとるまで、病人に恐怖を与えつづける無慈悲な医者と同じようであった。
「せがれは無罪にはならんでしょうか?」
蚊のような細い教授の声に対して判事は答えた。
「無罪どころではありません。過失罪として情状を酌量されるかどうかも、今となっては疑問で、ことによると謀殺と認定されるかもしれないのです。