轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よしんちょうしょ
予審調書
平林 初之輔
「新青年」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,371 字 · 23 页
この物凄い光景を見て、とりのぼせたのでしょうな、林は、このまま出たら、てっきり自分に嫌疑がかかると思いこんで、なんとかして、少しでも、死体の発見をおくれさせる必要があると思い、その死体を台所の床下へ匿そうとしたというのです。その時に、ちょうど、お宅の女中さんの跫音が聞えたので、あわてて飛び出して来たのだそうです。死体を検査した医師の申し立てによると、死体は絶命後すでに十二時間以上を経過しているというのですから、林という男が、その場で兇行を演じたのではないということは明瞭になったわけです。それから、医者の言葉によると、致命傷は、後頭部の打撲傷で、小刀は余程あとから死体にさしたものらしいということです。」
彼はちょっと言葉をきった。夕日がカーテンのすきまから宝石のように洩れこぼれている。
「もっとも、これで林の嫌疑がすっかり晴れたとは言えないのです。なぜかというと、彼は前の日の夕方にも一度その家を見に来たというのですから、ことによると、その時に兇行を演じて、明くる日になってから、気が気でないので、兇行の現場を偵察に来たのではないかとも疑えるのです。この種類の犯罪には、こういうことはあり得ることですからな。