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じじつにたって
事実にたって
宮本 百合子
一月六日アカハタ「火ばな」の投書について
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,065 字 · 5 页
東條が処刑された翌日の新聞に、家族が父は死んだのではありません、生きたのです、最後まで信念を貫いたのですから、と語った。そのすぐあとのけさ(二十三日)大川周明ほか十九名が自由になったと知らされている。そのなかの一人である安倍源基は特高課長、警視総監、内務大臣と出世したが、その立身の一段一段は小林多喜二の血に染められ岩田義道の命をふみ台にしている。天羽英二は情報局長としてあんなに人民の言論と思想、文化の自由を根こそぎ刈った。
これらの戦犯的分子がまた再びわれわれの生活へまぎれ込んで来たことについて抗議したことは、投書のようにあしたになると友達に話すこともできず「一つ一つと逃げてゆく」話の内容といえるものだろうか。勤労人民の政治的文化的発言の一つのかたちとして、ファシズムとたたかう日常の方法として、職場、学校サークル内に通信員活動を提案したことはただふん囲気だけあるおしゃべりだったろうか。わたしの講演をきいて入党したといっているひとが世田ヶ谷のある細胞にいるそうだ。『われらの仲間』にあの話のテーマで原稿をもとめ、それは職場の人の、あの話をきいてふっきれなかったところがよくわかった、という手紙ととともに発表されるだろう。