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ふたつのいえをつなぐかいそう

二つの家を繋ぐ回想

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,480 字 · 37 页

青空文庫

「――じゃあ、一寸二階へ来てお貰いしましょう」

やがて、自分等は、二階坐敷へつれられた。

先に立った母が、改って坐布団などを出される。自分は、其那片苦しい待遇に堪えないで、縁側にある長椅子に腰をかけた。

Aは、母と相対して坐らざるを得ない。

「貴方も、勿論、もう百合子からお訊きでしょうし、又斯う云う事になると云う位は、若い者でもないのだから前以て御存知だったでしょうが、一体、あの――何ですね、今度百合子が書いたものを、どうお思いです?」

彼女は、強いて落付き、足場を踏みしめた態度で口を切り始めた。

「どうと云って、私の目から見れば、相当によく出来て居ると思います」

「小説としては、それは、よく書いてありましょう。然し、貴方は、あの中に、何か御気の付いたことはなかったんですか」

Aが返事をしないうちに、彼女は、あとをついだ。

「若し、何か、世間に対して、如何うかと思うような点があったら、注意して、なおさせてやって下さるのが当然ではないでしょうか。御承知の通り、百合子はまだ若いんだし、世の中のことは知らないのだから、貴方が指導して、正しい道を歩かせて下さってこそ、私は、良人としての価値があると思うのです」