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ふたつのいえをつなぐかいそう

二つの家を繋ぐ回想

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,480 字 · 37 页

青空文庫

「それは、勿論」

Aは、詰問的な母の口調にあって、少なからず、感情の自由な活動を遮られ、言葉がうまく自然に出ないと云う風に見えた。

「いろいろな日常生活のことでですね、僕も出来る丈忠告もし、いいと思う方に進めもします。けれども、書くものについて丈は、僕は、一口も挟まないことにして居ます、どこまでも、自由に、自分のものを現わさなければいけないと思いますから」

「だけれども、何も、悪い自分のものまでを、放縦に現わす必要はないではありませんか」

母は次第に亢奮を押え切れなくなった。

「先達って、百合子が来た時にも、随分熱心に話したのだけれども、どうしても合わない、間違った処がある。自分の心に感じたことは、何でも書かずには居られないと云うが、親を苦しめ、夜もろくろく眠られないような思いをさせることを、何もわざわざ書くには及ぶまいと、私は思うのです。芸術の使命と云うものは、決して其那低い処にあるのではない」

彼女は、私の説明も、Aの弁解も聞かれなかった。

涙をこぼし、顔つきを変えて、云いつのる。そして、終に、

「斯うやって私達が会うからこそ、お互に不愉快なこともあれば、誤解することもある。