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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

彼らを愉快でなく暮させている日本へ来て、中国の女学生はどんな感想をもっただろう。伸子はそれが知りたい気持だった。

午後一時という定刻に、伸子はその新聞社へ行った。茶話会は、会議室でもたれることになっていた。麻のカヴァーをかけた長椅子だのソファーだのが壁ぎわにおいてある。室の中央に長い会議用テーブルがあり、伸子が入って行ったときは、もうそのまわりに十六七人の女学生と背広をつけた三人の男の引率者とがかけていた。伸子の知らない教育家らしい風采の中年の日本婦人が二人来ていた。伸子は、そのとなりの席へ案内された。

茶話会というからには主催者が一座のものを紹介して、通訳をとおしてながらもくつろいだ話が出来るのだろうといくらか楽しみをもって期待して来た伸子は、何を標準にしているのかとにかくきまりすぎた席次やその室の気分を意外に感じた。お客になって椅子に並んでいる女学生たちは、みんな黒い髪を肩までのおかっぱにしてきり下げ、支那服を着て、きわめて行儀よく並んでいる。どの顔も素顔で、浅黒く、いかにも師範の女学生らしい簡素さである。動かない彼女たちの姿勢と表情のうちで、きつい黒い瞳ばかりがいちように好奇心をあらわして、伸子たち少数の日本婦人の上に注がれている。