轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

それに、わたしは、面倒くさいからくれてやれ、という風に、あなたがたを見る心持になれないんです」

するとさっき、ゆするようにものをいった青年が、

「ふん」

と嘲弄した。

「詭弁でやがらあ」

伸子は再び沈黙した。自分が詭弁を弄しているとは思えなかった。伸子の内心にはおどろきと疑問がひろがりはじめているのであった。こういう形で屈辱の立場に自分をおくに耐えるなら、どうして、生活のために何か一つの職業が見つけられないということがあるのだろう。伸子は、黙ってまじまじと三つの顔を見た。ピーター・クロポトキンの「革命家の思い出」をよんだときの感銘が思い出された。クロポトキンはアナーキストではなかったろうか。クロポトキンの「ロシア文学の理想と現実」を、伸子は、二度三度とくりかえして読んだ。そこにはよりよい人生にたいして燃えるような意慾がたたえられていた。人生と文学とを、人間のそのような精神の華として語る真実と美しさとがみちていた。クロポトキンはアナーキストであった。そして、今、目の前に並んでいる三つの顔。その三つの若い男の顔は、一つ一つ生れた故郷はそれぞれにちがう田舎の相貌をもっているとともに、互いに共通な習慣的な虚勢でこちらをにらんでいる。