轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

その部屋の一隅に大きい茶色の書きもの机が置いてあった。その机は、伸子が本の插画の古い銅版画で見ているプーシュキンの書斎にあった机のような型で、グリグリのついた足と、いくつもの小引出しとをもって、いかにもロシアの古机であった。壁に、海洋を描いた画家として有名であったアイバゾフスキーの嵐の夜の海の写真版がかかっている。反対のもっと光線のすくない方の壁に、この間うち開かれていた現代ロシア美術展のとき売っていた赤いサラファンを着た太った若い女の絵の色刷りがはってある。それがロシアの復活祭のとき飾る色つけ玉子を真似したおもちゃだという、こまかい朱うるしで絵をかいた玉子形の飾りが本箱の上にあるのを見て、伸子は、

「持って拝見してもいいかしら」

そっととりあげて眺めた。日本のうるしの細工とまるでちがう手法で、赤い玉子のおなかにまた楕円形の灰色の地があって、そこに橇遊びをしている冬の湖上の風景がミニェチュア風に描かれている。

「だから来てよかったじゃないか、ぶこちゃん」

素子が本棚のところに立っている伸子をからかって、小川豊助にいった。

「なかなかひっこみじあんで、きょうもはじめは、わたし一人で上れっていっていたんですよ」