轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

溢れるつややかさと乱れのまま多計代は娘と息子とが待っている食卓に来て坐った。

「お待ちどおさまだったね」

そういったきりで、たべはじめた。さっさと、味わおうとせずにたべはじめた。自分がどんなに咲きいでているか、それを知らず、また、かくすことも知らず大輪の花のように咲き乱れている母。多計代の右手の指に泰造からおくられて愛用しているダイアモンドがきらめいていた。それは多計代の全体によく似合った。食卓は煌々と灯に照らされていて、多計代の手がこまかく動くごとに蒼く紫っぽく焔のような宝石のひらめきが走った。

ほとんどくちをきかずに三人の食事が終った。越智のところから下げられた膳が廊下を台所へ運ばれて行った。

多計代は、そこに保も伸子もいないような遠い目つきで、正面のドアの方を見ながら茶をのみかけていたが、急にそのまま湯呑みを食卓の上へおいて、洗面所の方へ立って行った。そのあとの空気の中になお熱っぽさと微かないい匂いとがのこった。その匂いをかぎしめるようにしていた保が、和毛のかげのある青年の顔を、伸子の方へゆるやかに向けて、

「お母様、なぜだろうね」

といった。

「越智さんが来るときっと洗面所へ行って白粉をつけるの」